はじめに今回は、注目を集めているデジタルマーケティング戦略の一つ、メールマーケティングについて解説していきます。メールマーケティングは、コストに対するリターンが大きいマーケティング手法ではありますが、その基本を理解せずに始めてしまうと、なかなか結果が出ずに終わってしまうことも多いです。メールマーケティングを効果的に運用するための基礎理解を深めるために、ぜひ本記事をご参考にしてください。目次① メールマーケティングとは 1-1 メールマーケティングとメルマガの違い 1-2 メールマーケティングが流行している背景 1-3 費用対効果はトップクラス 1-4 顧客に望まれるコミュニケーション手段② メールマーケティングの3つの効果 2-1 ブラスト型とパーソナライズ型メールマーケティングとはまず最初に、メールマーケティングの定義について理解しましょう。「メルマガ」というワードをよく耳にしますが、「メールマーケティング」と「メルマガ」の定義は異なります。「メールマーケティング」は、前述したように、売上向上やブランディングなど目的を明確に持ち、一人ひとりに対する戦略的に行うメール配信のことを指します。一方、「メルマガ」はユーザー全員に対して、同一のコンテンツを一斉送信することを指します。つまり、メールマーケティングはマーケティングの一種であり、メルマガはメール配信の手法の一つです。メルマガを配信することはメールマーケティングを実施することに含まれます。メールマーケティングが流行している背景メールマーケティングが注目されていると言われても、InstagramやLINEなどのSNSの流行が圧倒的であるため、「メールは古い」「信じられない」と思う方も多いかと思います。しかし、そのようなイメージに反して、メール市場は拡大し続けています。アメリカのテクノロジー分野に関する研究レポートを公表するMarketsandMarkets社の調査によると、2021年から2026年の期間における、世界のメールマーケティング市場は年平均14.3%で成長すると予測されています。(出典:Markets and Markets, “Email Marketing Market by Component - Global Forecast to 2026”)SNSとメールのどちらもオンラインコミュニケーションの重要なツールですが、SNSは広範なコミュニティにおける情報収集や交流のために利用される一方で、メールは企業と顧客の直接的やり取りとして利用されることが多いのです。費用対効果はトップクラスメールマーケティングの費用対効果は、様々なマーケティング手法の中でも非常に高いとされています。デジタルマーケティングを実施している企業のうち、74%の企業がメールマーケティングの効果について「とても良い」又は「良い」と回答しています。メールマーケティングでは、比較的低コストで正確なターゲット選定が可能であり、有効なコンテンツを直接提供できるのです。顧客に望まれるコミュニケーション手段アメリカのメールマーケティングのプラットフォームを提供するSendGrid が発表するレポートによると、B2Cのメールについて、消費者はSNSやSMS、チャットなどよりもメールを好むことが調査結果として挙げられています。B2Cメールは、消費者の関心に基づく記事であることが多く、消費者にとってはSNSよりも信頼のできる情報を探しやすいため、ストレスを感じずに読むことができるのです。(出典:SendGrid, “Why Consumers Prefer B2C Emails Over Other B2C Digital Communications”)メールマーケティングの3つの効果メールマーケティングの効果は、大きく3つに分類することができます。❶プロモーション❷コミュニティー形成❸ユーザーとの関係構築・強化一つ目のプロモーションは、メールマーケティングの中心的な効果を発揮するものです。セール告知や、新商品の紹介など、購買という最終目的につながる行動を促すものが該当します。特に、ターゲットに合わせたオファーを送ることで、より効果的にプロモーション効果を得ることができます。ただし、適切なターゲット選定やセグメンテーションに加えて、コンテンツの工夫が必要となります。・新規顧客への割引クーポンへの配布・既存顧客へのリピート割引の提供・特定の商品カテゴリーのセール告知・シーズンイベントに合わせたキャンペーンの配信二つ目のコミュニティー形成は、自社商品に限らず、ブランドに関係する情報を発信することで生まれる効果です。購買という最終目的に直接繋がるものではありませんが、ユーザーが求める情報を定期的に発信することで、ブランドに対するロイヤリティーを生み出すことができます。ユーザーと長期的な関係を築くためには顧客とのコミュニケーションを重視する必要があります。・企業の製品やサービス、業界の最新情報・季節に合わせたセールス情報・企業の紹介やサービス説明に関する情報三つ目のユーザーとの関係構築・強化は、ユーザー一人ひとりの行動に対する細かなフォローアップによって生まれる効果です。購買行動の履歴や、メールでのコミュニケーションから得られるユーザー情報をもとに、ユーザーにとって最適なサービス体験を生み出すことで関係の強化につなげます。・カート内の商品が購入されていない場合のリマインド・購入した商品やサービスに関する使い方ガイドの提供・購入履歴に基づいたリコメンドブラスト型とパーソナライズ型上記の3つの効果は、「ブラスト型」と「パーソナライズ型」の2つアプローチ方法に分類されます。「ブラスト型」アプローチとは、一般的なアプローチで、複数のユーザーにまとめて同一のコンテンツを配信する方法です。効果の①と②が該当します。比較的簡単に実施することができ、少ないリソースでより多くのユーザーにアプローチすることができます。「パーソナライズ型」アプローチとは、「ブラスト型」よりも個人的なアプローチで、ユーザー一人ひとりに特化したコンテンツを配信する方法です。効果③が該当します。ユーザーの嗜好に合わせたコンテンツを配信することで、エンゲージメントの向上やリピーターやファンの増加を目指すことができます。「ブラスト型」と「パーソナライズ型」の両方を徹底することで、より効果的なマーケティングを実践することができます。まとめSNSマーケティングの存在感が大きくなる一方で、メールは顧客と直接コミュニケーションが取れる、B2Cの重要なツールとして存在し続けています。メールマーケティングの効果と目的を明確にした上で顧客との関係構築に取り組み、長期的なビジネスの成功へ繋げましょう。